運用型広告をはじめとするインターネット広告の分析や、自社サイトのウェブ分析、もしくはもっと広範囲にわたりウェブマーケティング全体の分析をしていかなければならないとなった場合、「どのように分析していけばいいのかわからない・・・」となったことはないでしょうか。特に、新入社員の方や、部署移動で新しく配属されてきた担当者の方など、これまでに《分析》という作業にあまり慣れ親しんでこなかった方ですと、尚更途方に暮れることもあるかと思います。今回は、そんな方のために《分析》を進めていく為の基本的な考え方をご紹介したいと思います。

ウェブマーケティングを長く担当されている方でも、分析方法を整理することで、新たな視点の発見などにつながるかと思いますので、是非参考にしていただければと思います。

【目次】

  1. 分析の基本は比較
    • 期間比較法
    • 相互比較法
    • 標準比較法
  2. 数値の比較だけでは分析にならない
  3. まとめ

①分析の基本は比較

リスティング広告やディスプレイ広告といった運用型広告の分析にしても、自社サイトの流入数や目標到達数を分析するウェブ分析にしても、分析で必要な基本的な考え方は同じです。それは比較という視点です。

早速ですが、下記の数値を見てください。

【4月の運用結果】
表示回数:1,000,000回 クリック率:3% クリック数30,000回 クリック単価33円 費用100万円

この結果は、効果が良いといえますか?効果が悪いといえますか?

当然、この数値だけで結果の良し悪しを判断するのは無理でしょう。

※中にはあまのじゃくな方もいて、「この数値は良い数値だね」とか「悪い数値だね」という方もいるかもしれません。でもそれは、おそらく心の中で想定した数値と比較をしているのかと思います。これは後で紹介する標準比較法の一部になりますので、もう少しお付き合いお願いいたします。

それでは、次の二つ数値であればどうでしょうか。

【3月の運用結果】
表示回数:1,000,000回 クリック率:2% クリック数20,000回 クリック単価50円 費用100万円

【4月の運用結果】
表示回数:1,000,000回 クリック率:3% クリック数30,000回 クリック単価33円 費用100万円

このように、3月と4月という形で二つの数値があれば、効果の良し悪しの判断をつけやすくなるのではないでしょうか。例えば、「3月から4月にかけてクリック率が2%から3%に上昇しているから、効果が良くなっているのだろう」、というように二つの数値があることで、それぞれの数値を比較することが出来るようになります。このように、分析の基本は比較という視点になります。

それでは、一般的に、比較の方法にはどのようなものがあるのかを見ていきたいと思います。

・期間比較法

期間比較法とは、同一の分析対象を期間によって分割して分析する方法です。期間の取り方は、日別、週別、月別、もしくは昨年対比とかでも構いません。ただし、データ量が少ない中で細かい期間で分割したとしても、あまり有意義な比較はできませんので、データ量に見合った期間で分割するのが良いといえるでしょう。

期間比較法は最も一般的な手法と言え、分析の基本中の基本といえるかと思います。期間比較法という言葉は知らなくとも、「売上が伸びているな」とか、「ユーザー数が減っているな」というような感覚は誰しも持っているかと思います。この、「売上が伸びているな」とか、「ユーザー数が減っているな」という感覚は、ある期間で分割し比較した場合に言えることです。

この感覚に、時系列のある明確な数値を根拠として与えて比較するのがこの期間比較法になります。その為、期間比較法は時系列分析と呼ばれることもあります。

・相互比較法

相互比較法とは、同一の期間で、異なる対象を比較して分析していく方法です。例えば、インターネット広告であればキャンペーンや広告や検索キーワードなど、また、自社サイトのウェブ分析であれば流入元やメディアごとの比較などが相互比較法にあたります。先ほどの数値例をもとに見てみましょう。

【4月の運用結果】
表示回数:1,000,000回 クリック率:3% クリック数30,000回 クリック単価33円 費用100万円

【4月の内訳】
媒体A
表示回数:800,000回 クリック率:2.5% クリック数20,000回 クリック単価40円 費用80万円

媒体B
表示回数:200,000回 クリック率:5% クリック数10,000回 クリック単価20円 費用20万円

4月の数値をさらに細かく分割することで、媒体Aと媒体Bの比較ができるようになります。この例では媒体Aの方が、表示回数が多く、クリック数が多いので、4月の運用結果のうち多くを占めていることが分かります。一方媒体Bの方は、クリック率は高く、クリック単価も媒体Aに比べて低いことが分かります。

このように、同じ期間のデータを細かく分割していくことで、それぞれのデータを比べることが出来るようになります。

・標準比較法

標準比較法は、同業種の平均的な数値などと比較する方法になります。また、施策の実施前に作ったシミュレーション値や目標値などとの対比もこの標準比較法といえるでしょう。ただし、標準比較法の場合、何を標準とするのかに注意しないといけません。根拠のない目標値やシミュレーション値と比較したところで、有意義な分析はできません。

②数値の比較だけでは分析にならない

何度も言いますが、分析の基本は比較になます。しかしながら、これはあくまでも基本であり、分析の出発点になります。つまり、数値を比較しただけでは分析をしたことにはなりません

【4月の数値の内訳】

媒体A
表示回数:800,000回 クリック率:2.5% クリック数20,000回 クリック単価40円 費用80万円

媒体B
表示回数:200,000回 クリック率:5.0% クリック数10,000回 クリック単価20円 費用20万円

例えば、この上記の数値をみて、媒体Aの方が表示回数とクリック数が多い、媒体Bの方がクリック率が高く、クリック単価が安い、というだけしか考えられなければ、ただの数値の報告でしかありません。この数値をもとに、なぜそのような結果になったのか、この結果を改善するためにはどうすればいいのかということを仮説立てていかなければ分析の意味がないでしょう。

ですので、この数値の比較は、課題抽出のための出発点ということになります。上記の例でいうと、媒体Bの数値の方が、効果がよさそうであれば、それをさらに分割していき、

「媒体Bの中でも、どこの要因の効果が良かったのか」
「それはもっと良くすることはできるのか」
「媒体Aでも同じように配信していくことが出来るのか」

というように、どんどん掘り下げていくことで、課題を発見することが出来ます。そして、そこで発見した課題から仮説立てをすることで、次回以降の改善に役立つ分析となるのです。

③まとめ

いかがでしたでしょうか。分析の基本である比較法について理解いただけましたでしょうか。

今回紹介した『期間比較法』『相互比較法』『標準比較法』という言葉は、本来、企業の財務分析などで用いられている用語になります。しかしながら、業界は違っていても分析の基本的な考え方は同じです。ある数値とある数値を比べることで、それぞれの良し悪しが判断できるようになります。そこから、良い要因、悪い要因をつき止めて、課題を抽出していくことが分析になります。

また分析では、比較の対象にどの数値を持ってくるのかというのも大切です。対象数値の選び方によっては、同じ数値が、良くも悪くも見えてしまいます。自分たちの分析の目的にあった指標を選ぶことが重要になってきます。

運用型広告やウェブマーケティングでも同じです。分析の基本は比較になります。

皆様も分析をする際や、課題発見に行き詰ってしまった場合は、この記事にあるような基本的な分析視点のことを思い出してみてください。